ProX™ DMP 300 / 部品製造
後加工の経験と最新のモノづくりが融合!
ProX™ DMP 300がもたらす「自由さ」とは?
フランスのAM技術と日本の熱処理・加工技術で新たなモノづくりの世界を切り拓かれている プリズマット・ジャパン株式会社様の事例をご紹介いたします。
板金・金型製造
プリズマット・ジャパン
当時例は3D Systems社の事例となっております。
Additive Manufacturing を核とする日仏合弁会社が誕生
2016年2月2日、名古屋市の山一ハガネ本社において
、日仏合弁会社 PRISMADD JAPAN (以下 プリズマット・ジャパン) 設立のオープニングセレモニーが開催された。
日仏の合弁会社設立がこれほど注目を集めるのは珍しいが、それにはもちろん理由がある。
「それはこのジョイントの母体である仏企業 PRISMADD 社が、次代の製品開発手法とされる Additive Manufacturing の技術を核に、
欧州航空業界の雄・エアバス社など、航空宇宙や自動車等の分野へ展開する注目の企業だからです」。
そう語るのはプリズマット・ジャパンの日本側母体である山一ハガネ出身で、新会社の取締役 小栗有志氏だ。
日本では「付加製造」と訳されるAdditive Manufacturing (以下 AM)は、
樹脂や金属素材で高精度の積層造形が可能な次世代3D プリンターを用い、航空宇宙や自動車、原子力等の先端産業製品の開発製造を行おうというもの。
小栗氏は山一ハガネの営業として数年前からこの最先端の技術分野に足を踏み入れたのである。
「今年90周年を迎える山一ハガネは、高級特殊鋼に特化しつつ、顧客のニーズの変化に対応すべく素材販売から熱処理、精密機械加工、測定など機能を多様化してきました」。
その流れのなかで小栗氏が関心を持ったのが3D プリンターと AM の世界だった。当時、小栗氏はその存在に大きな危機感を覚えたという。
このままAM の市場が成長していけば、山一ハガネのビジネスの大きな顧客である「金型」の市場が圧迫されかねないと感じたのだ。
「とにかく私たちにとって無視できない分野でした。そこでさらに市場調査を進め、そして出会ったのが、後に仏・プリズマット社を創設するフィリップ・リヴィエール氏だったのです」。
当時、すでにAM という新しい開発製造業によるグローバルな発展を目指していたリヴィエール氏は、
ヨーロッパのみならずアメリカやアジアでもパートナーを探していた。
そして、アジア地区で目をつけたのが日本だったのである。
「出会いはなかば偶然でしたが、両社が手を結んだのは必然だったかもしれません。なぜならお互いがお互いに必要なものを持っていたのです」。
仏・プリズマットグループは、AM 用素材の金属粉末開発製造会社や3D プリント用データを作る設計技術の会社、3D プリンターによる AM を行うプリズマット等で構成されているが、AM の運用には3D プリント後の仕上げのため、熱処理や機械加工などの後処理が欠かせない。
山一ハガネは、この後工程の技術とノウハウ、設備をトータルに備えていたのである。
「つまり、プリズマットのAM ノウハウと山一ハガネの機械加工の技術が結べば、プリズマットがフランスで行っている通りの流れを日本で再現できるわけで、合弁は驚くほどスムーズに進んでいきました。
そして、同時に私たちは新会社のAM ビジネスのカギとなる金属3D プリンターの選定を開始し、3D Systems のメタル3D プリンター ProX DMP 300 と出会ったのです」。
日仏の意見が一致した最高のメタル3D プリンター
メタル3D プリンターとは、金属パウダーをレーザービームで一層ずつ焼結、積層させていくことで、高密度かつ高純度の金属パーツをダイレクトに造形する最新鋭の3D プリンターである。
機械加工や鋳造によるアセンブリより自由なデザインで、高機能な機械部品を速く低コストで製造できる。
ProX DMP シリーズは、そんなメタル3D プリンターの代表製品だ。
「プリズマットのノウハウを活かしてメタル3D プリンターを運用し、3D プリントでなければできない機械部品を高速かつ低コストで出力。
後工程は山一ハガネがどんどん処理していこう、というのがプリズマット・ジャパンの狙いです。
当然、3D プリンターは事業の要であり、その選択は何より重要な課題でした」。
前述の通り、合弁前から3D プリントに関心を持っていた小栗氏は、メタル3D プリンターも早くからリサーチしていた。
当時の代表的な3D プリンターメーカーにアプローチし、その製品に触れていたのである。
「その時まとめたレポートも 3D Systems 製品が一番という結論でした。
リヴィエール氏にも訊ねましたが、やはり“ProX DMP が一番”という返事で、私も自信をもって ProX DMP 300 を選べました」。
期せずして日仏の専門家の意見が一致したわけだが、エンジニアとして背景も異なる両者の支持を集めた ProX DMP の人気は何によるものなのだろうか。
――それは精度の高さと仕上げの美しさ、そして工作機械にも似た高い信頼感にあると小栗氏は言う。
「最終的な精度の高さを謳っていたのは ProX DMP だけでしたし、装置自体が工作機械並に重くて本格的な量産対応機としての仕組みも含め、他にない高い信頼性を感じたんです。
出力サンプルも自分の目で見て一番きれいなのが ProX DMP のものでしたね」。
そしてもう一点、小栗氏が注目したのが ProX DMP の自由さ、オープンさである。前述の通り、メタル3D プリンターでは様々な金属粉末が材料として使われる。
しかし、多くの3D プリンターメーカーでは自機に使用する金属材料を自ら供給し、それ以外の材料の使用を禁じる所も少なくない。
しかも、その多くは、素材の成分や性質を明記したミルシートさえ付されていないのだ。
「ものづくりを行う上で材料の内容や出処がわからないということは、あり得ないことです。その点、3D Systemsには素材に関する縛りはありません。
パラメーターがオープンにされ、独自に開発した材料も使えます。その上、自由度の高さも選択した一つの理由です」。
この自由さが小栗氏らにとって重要なポイントだった。当時、メタル 3D プリンターで AM を展開することは決まっていたものの、具体的にどんなマーケットを目指すのか、はっきりしていなかったのだ。
「仏プリズマッドと同じく航空宇宙を開拓するのか、あるいは自動車や医療分野を目指すのか。目指す市場により作る製品も金属素材も変わります。
だからこそ私たちは3D プリンターメーカーと一緒に進んでいきたいと考えました。ProX DMP 300 のオープンさは絶対に必要な条件でした」。
メタル3D プリンティングとAM 技術の確立へ
こうしてプリズマット・ジャパンは ProX DMP 300 を選定し、第一歩を踏み出した。
もちろんまだ創設1年目が終ったばかりでAM メーカーとしては助走段階だが、目指す市場の1つは定まったという。
「その1つ(のターゲット)は航空機産業です。日本の製造業の発展に航空機産業は欠かせません。その発展を支える存在になりたいです」。
すでに同社では、航空宇宙業界のサプライチェーンにおける製品品質確保のためのマネジメントシステム規格「AS9100」を取得。
日本を代表する航空機メーカーの発注のもと航空機部品のAM による試作にも着手した。
これらを通じ ProX DMP 300 によるメタル3D プリンティングとAM 技術を確立し、航空機部品供給を進めていくことが次の目標だ。
「プリズマット本社のノウハウを全て踏襲できれば良いのですが、やはり一物一点なので簡単にはいきません。
現在はプリズマット本社から積層技術を学び、それを私達のものとするべく試行錯誤の毎日です」。
日本ではほとんど前例のない分野への取組みだけに、まさにパイオニアとしての「産みの苦しみ」が彼らの前に立ちはだかっているのだ。
だが、だからこそ面白いと小栗氏は言う。
「将来的には、お客様からいただいたCAD データを3D プリント用に最適化する設計変更のノウハウや、
そこで使う3D Systems のソフトウェアも重要なカギになります。
専門技術者も育てなければならないので、社員をフランスに派遣する予定です。とにかく学ぶこと、挑戦すべきことはいくらでもあります。
3D Systems にもさらなる支援を期待したいですね」。
【企業DATA】
プリズマット・ジャパン株式会社
本社:名古屋市緑区大根山ニ丁目146番地
URL:http://prismadd.jp/