CASE STUDY

ProJet® 3510DPPro / 医療

最先端技工所を目指す!デジタル化を推進する(株)ケイテックスの取り組み

歯科技工所とデンタル業界向けのCADCAMアカデミーを運営している(株)ケイテックス。 業界に先立ち3DCAD/CAMシステムを取り入れ、約5年前から入れ歯等の製作に3Dプリンターを活用しています。 デンタル業界における活用のメリットと、(株)ケイテックスが考えるデンタル業界の未来とは・・・

医療(歯科)

株式会社ケイテックス

株式会社ケイテックス

最先端技工所を目指すケイテックス

1973年に東京都新宿区歯科技工所を設立。技工所を運営する傍ら、1981年より歯科技工士専門学校を卒業後の新米技工士を対象とするセラミックアカデミー「早稲田トレーニングセンター」を開講し、積極的な人材育成を行ってきた(株)ケイテックス。業界の中では早くからCAD/CAMシステムを導入し、2011年には3Dプリンターも導入してデジタルと人間の巧な技術を融合しながら運営しています。

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近年ではアメリカや中国等の海外進出をはかりながら、デンタルショーやメーカーセミナーなどに積極的に参加し、世界の先端技術にアンテナを張って、日本の最先端歯科技工所を目指しています。

日本では未だ従来の手作業で義歯を作成する方法が一般的である中、3DCAD/CAMシステムの導入を業界に先立って行いました。
CAD/CAM導入のきっかけは、「新しい機械を導入するにあたり必要だった」とのこと。
先端技術を積極的に取り入れるケイテックスならではのきっかけでした。

新しい機械を使うためには必然的にCAD/CAMでデータ作成ができなくてはならない為、必死に勉強されたそうです。

のちにCAD/CAMを使える人材も増え、業界にはこれから必ず必要なる技術だ!そう思い、業界で技術者を普及するべく、2015年に「早稲田CADトレーニングセンターサポートセンター」を開設しました。

口腔内スキャナーによる補綴(ほてつ)・義歯製作と早稲田トレーニングセンターの講師を務める、技工士の川田様と佐藤様に、3Dプリンターを活用してよかったこと、そしてケイテックスが提唱する今後のビジネスモデルについてお話を伺いました。

技工部部長 早稲田CADT・S・Cインストラクター 歯科技工士 川田弘和 氏と歯科技工士 佐藤哲也 氏

選定ポイントは時間ではない?!運用上で重視したポイントとは?

3Dプリンターの導入は2011年1月ごろ。3DSystems社製「ProJetDP3000」デンタル向けの3Dプリンターを導入しました。
当時は3Dプリンターブームが起こる2年前、国内で先立っての導入となりました。

きっかけは「付き合いのある企業の営業が、たまたまProJetDP3000を紹介してくれました。今まで手作業で行っていた義歯の鋳造モデルが自動でできてしまうなんてすごいことだ!と社長が感じ導入を決めました。」とにこやかに話す川田氏。
当時アメリカ・ヨーロッパでは3Dプリンターを活用した義歯製作が標準化されつつある中、最先端技工所を目指すケイテックスにとって「世界基準に伴った設備・品質の安定化・労働環境の改善・技工士不足への対応」この4点をカバーできる重要な設備投資だったのです。

ProJetDP3000

3DSystems社製のProJetDP3000を選定した理由について川田氏は、「当時はデンタル向けの機種も選べるほどの種類がなかったので、機種比較は行わずに従来の方法と比較してのクオリティやコスト・時間を重視しました。2015年にProJet3510DPProにリプレイスを行い、その際は精度・造形時間はもちろんのこと、修理や材料の納品、技術的なアドバイスなど保守内容も重視しました。」といいます。さらに「導入検討当初は選定ポイントとして時間が挙げられていましたが、実際運用をはじめると『変形しない』『故障が少ない』この2点が最優先ポイントとなりました」と佐藤氏。 運用してみて新たな重要ポイントが浮かび上がったのです。

「一度使ったら手放せない!」その理由

デジタルの場合、1つの入れ歯のフレームデザインは30分ほどで完成します。通常の入れ歯のフレーム作成は、ワックスアップによる1つのデザイン完成までに3時間程度必要です。そのため工数が多く大量生産ができません。そこで3Dプリンターが活躍します。

ProJet3510DPProは造形エリアに収まる範囲であれば一度に造形でき、30個のモデルを約6時間ほどで完成させることができるのです。
作業はすべて3Dプリンターにより自動化されるので工数はほぼ0時間になります。

「3Dプリンターが自動でワックスモデルを作ってくれるのでその時間を違う作業を当てることができます。
 作業効率が向上し、その結果労働時間短縮につながったことは大きいです」と川田氏。

 さらに川田氏は、「今後予想される技工士不足の対応と、材料代などの経費をデータ管理して明確化する上で、
3Dプリンターの技術は欠かせません、技工士も高齢化されてきています。またこれまでは使用する材料の種類も多く、1つ当たりどの程度の材料代が掛かるのかわからないのが以前の状況でした。」と言います。 

「3Dプリンターを1度使ってしまうともう使用せずにはいられなくなりますよ。実際の話ですが、鋳造に失敗して1つだけ作り直す場合でも3Dプリンターで造形お願いしますと依頼されます。1つであれば手作業で作ってしまった方が断然早く作れてしまうのに...。自動で作れる楽さを知ってしまったのですね。」と川田氏と佐藤氏は顔を合わせてうなずきます。  

歯科業界における課題と3Dプリンターを導入した結果

3Dプリンター造形の差し歯モデル

常識を覆し、不可能を可能にした入れ歯製作

3Dプリンターの導入のメリットは大きいものの、まだ課題があります。

歯科技工所で製作される補綴物(ほてつ)は大きく分けて入れ歯と差し歯の2つです。3Dプリンターは主に差し歯(特に銀歯)の製作で活用されています。しかしいくら3Dプリンターを活用しても患者に差し歯を入れる際には、「患者の歯を削る」工程が必要です。

さらに入れ歯の場合、従来は模型が必ず必要になります。これらの作業は人間の手作業が必須なのです。

佐藤氏は言います。「入れ歯の作成に3Dプリンターが活用されない理由は、差し歯であれば金属やセラミックといった1種類の材料で作成されるのに対し、入れ歯は金属やプラスチックなど複数の材料パーツを組み合わせて作ることなどが挙げられます。しかし、もしも入れ歯が模型なしで製作することができれば、たとえばアフリカなど海外の発展途上国に口腔内スキャナーを置いてそのデータを日本に送り、国内生産して輸出することができます。発展途上国に削る技術がなくとも、口腔内スキャナーさえあれば入れ歯を作ることが可能になるのです。このビジネスモデルは、今後の歯科業界にCAD/CAMや3Dプリンターなどのデジタル化を推進する大きなきっかけになると実感しています。入れ歯を模型なしで製作することができればの話ですが・・・。」

3Dプリンター造形の入れ歯(ブリッジ部分)モデル)

2017年2月、佐藤氏は鶴見大学との共同実験で今まで難しいとされていた「入れ歯を模型なしで作る」臨床実験に成功しました。 この実験は今まで人間の手では不可能とされていたことが可能になった革新的な結果です。
「この試みは3Dプリンターなしでは不可能でした。発展途上国に対してのビジネスモデルが現実化される大きな1歩です」佐藤氏は力強く語ります。

 

業界に革命をもたらす?!ケイテックスの新たな試み

佐藤氏は全国の技工所や歯医者をネットワークで繋げ、技工所ごとの課題や不足を補いながらデジタル化を推進するビジネスを計画しています。

具体的には、「国内に歯科技工所は約20,000社ある中で、3CAD化されている所は約1,000社ほどです。技工所のほとんどは小さな企業のため、設備投資が難しかったり、技工所ごとに課題を抱えています。3DCADデータが欲しくても3DCADを導入していないからデータ取得を諦めたり、技工士不足により削りの作業を行う人材が少なく困っていたり。この課題を解決できるのこのビジネスモデルです。ネットワークで技工所を繋げ密な情報共有を図ることで、互いをフォローし不足を補うことができます。3DCADデータが欲しければ、3DCADを所有する技工所に作ってもらえばいい、3Dプリンターが使いたければ、3Dプリンターを持っている技工所に作ってもらえばいい。小さな技工所が一度に何台も3Dプリンターを導入することは不可能ですが、全国の技工所をネットワークで繋げて1つの企業と考えるのです。その中で、互いの課題解決だけではなく、それぞれが持つ最新技術を活用しその技術の利便性を実感できれば、日本の歯科業界全体で少しずつデジタル化された技工所が増え、業界全体発展につながります。」と佐藤氏。

「自分の持っていない能力は持っている人と一緒に行えば、自分が持っているのと同じことだ」ケイテック社長の言葉をモットーに新たなビジネスに取り組みます。

【企業DATA】

株式会社ケイテックス
本社:東京都 新宿区 高田馬場3丁目16-17

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【販売代理店】

JBサービス株式会社
本社:東京都新宿区新宿4-2-23 新四curumu 11F 
URL:http://www.jbsvc.co.jp/index.html 

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