第2回 「3Dプリンターで型を作ろう」
鋳造でのモノづくりに、3Dプリンターがどう役立つのだろう? 3Dプリンターがあれば、型を作る必要もないのでは? そのギモンと3Dプリンターで型を作る強み、iGUAZUがお答えします。
■前回の答え合わせ
前回の「日本最古の大量生産された鋳造」の答えは「硬貨」でした。
今のモノとは全く異なりますが、同じ規格のモノを大量に作りたいという考えは昔からあったようです。
(出展元/トコトンやさしい金型の本、wikipedia)
さて、前回は「鋳造とは何か?」「鋳造とはどのようなモノづくりか」
「鋳造は何がすごいのか?」という内容をお送りしました。
今回は、「鋳造 × 3Dプリンター」の1つである、「3Dプリンターで型作成」についてお送りします。
■3Dプリンターは万能機械?
3Dプリンターといえば複雑な形状も作成することのできる機器なので、
「型を作らなくても3Dプリンターがあればモノづくりができるのでは?」と考える方も多いと思います。
実は、3Dプリンターは「素材が限定される」という弱みがあります。
「本当は●●の素材で作りたいのに!」という場合に、3Dプリンターだけでは解決できないことがあるのです。
金属の粉末を焼き固めるプリンターもありますが、まだまだコストは大きなものとなっています。
そこでご提案したいのは、型を3Dプリンターで作ってしまうという方法。
前回ご説明した通り、鋳造というモノづくりの過程は、
・マスターパターンの作成
・マスターパターンから型を作成
・型に素材を流し込む
・型を取り外して完成
という流れをとりますが、
マスターパターンの作成→マスターパターンから型を作成 という工程の代わりに、
3Dプリンターで型そのものを作ってしまおう というわけです。
これを「ダイレクト鋳造」と呼んでいます。
■ダイレクト鋳造は何が良いのか?
ダイレクト鋳造を行うことによって、マスターパターンの製作から型を作成するまでの工程を
省略することができ、これによってモノづくりのスピードを圧倒的に早めることができます。
しかし、型は使っていくうちに劣化が起こります。
従来ですともう一度マスターパターンから型を作る必要があり、時間がかかってしまいます。
更に型を保管しておくためのコストも軽視はできません。
3Dプリンターでダイレクト鋳造を行えば、データさえ保持していれば型が壊れてしまった時にすぐに作り直せます。
また、必要な時に型を3Dプリンターで造形すれば良いので、型の保管コストも抑えることができるのです!
■実際に使われてるの?
海外の事例ですが、建築系車両や切削機の製造メーカー様が使用しているケースがあります。
課題として、デザインの変更に時間がかかりすぎていたため、
鋳造プロトタイプを素早く作る方法が必要になっていたそうです。
そこで3Dプリンターを使ったダイレクト鋳造を行うことで以下のような効果を発揮したのです。
・鋳造試作部品の作成時間を70%減
・プロトタイプ作成能力を60%増強
・プロトタイプ作成コストを50%減
・鋳造部品作成時間を3週間から5日に短縮
(3DSystems社事例 Catapillar社)
■どんなプリンターが使われているのか?
ProJet x60シリーズが使用できます。
ProJet x60シリーズは着色をして造形することができるプリンターシリーズですが、
材料が石膏なので、高温にも耐えることができるのです。