3Dプリンター導入検討時の意外な盲点

「3Dプリンターを導入しようか迷っている」「導入した場合はどこに置くべきか?」 そんな3Dプリンター導入検討中の方が、ショールームで説明を聞いて初めて気付く意外な盲点。 それは、意外な事に『温度』『湿度』の管理でした。

オフィスに環境に置けるのが嬉しいプロフェッショナル3Dプリンター。でも会社によっては・・。

 音の発生が大きく、機器が大変重い為、普通のオフィス環境に置くのは難しいプロダクション3Dプリンターに対し、プロフェッショナル3Dプリンターは
オフィス環境に置けるスペックで導入がしやすい機器です。
中小企業から大企業まで、会社規模を問わず多くのお客様にご愛用いただいています。

 そんなプロフェッショナル3Dプリンターですが、ショールーム見学にお越しいただいたお客様が「えっ、そうなの?!」と驚く事が多い、
意外な盲点があります。

それは、『室温』と『湿度』です。

プロフェッショナル3Dプリンターと言われる機器で代表的な造形方法が、MJP(インクジェット方式)・CJP(粉末積層方式)・SLS(光造形方式)です。
その中で、MJP(インクジェット方式)・CJP(粉末積層方式)は安定稼働の為に推奨されている温度・湿度が設定されています。

例えば、MJP(インクジェット方式)の代表的な機器であるProJet3600(ProJet3500シリーズ後継機)では

操作環境温度 18-28℃
操作環境湿度 50%以下(推奨範囲 30~50% 結露の無いこと)

と、スペックに記載されています。
他のMJP(インクジェット方式)機でも、CJP(粉末積層方式)機でも、値の上下はあるものの、同様に温度/湿度の推奨値が設定されています。
(他メーカー機でも設定されています。スペックに記載のない場合は確認する事をオススメします)

それでは、この温度・湿度の推奨値が何故盲点となるのでしょうか。

推奨温度/湿度を保たせる理由

3Dプリンターは3DCADなどの設計データを元に立体物を自動で造形します。
小さな部品だと数時間で造形完了できる事もありますが、造形に5時間以上かかる事も多いのが3Dプリンター。
すると、よくあるのが「夕方造形開始して、明日出勤した時に出来上がった造形物を回収する」という流れです。
そういった運用をする場合、3Dプリンターを設置した部屋は、社員の退出後もエアコンをつけっぱなしで推奨温度を保たせる必要があります。

MJP(インクジェット方式)やCJP(粉末積層方式)は樹脂を固めるという過程の中で、温度が上がりすぎたり、逆に下がりすぎると
材料の状態が変わってしまい、造形不良が大変起きやすくなってしまいます。
長時間造形した造形物を翌日回収してみたら、造形不良で正しい寸法に出力されていなかった。途中でエラーが起きて停止していた・・そうなると
再度、造形しなおす時間と、造形しなおす材料がかかってしまいます。
そんな事態はなるべく避けたいですよね。
イグアスのお客様でも、造形不良多発でトラブル対応に駆け付けたら、エアコンの無い部屋で冬場氷点下に近い温度で稼働しており
材料樹脂が機械内で不意に固まってしまっていた。という事がありました。

特別な部屋を用意せず、オフィス環境に3Dプリンターを設置する予定だった・・・そんなお客様にこの話をすると、焦る方は少なくありません。

事前確認項目の中に、『温度』『湿度』を入れよう

環境に優しい会社が求められる傾向がある昨今、オフィスのエアコン設定温度に決まりがあったり、社員退出後はエアコンのスイッチOFFが
ルール付けられている会社も多いです。

3Dプリンター導入の設置場所を検討する場合、物理的サイズ・音の大きさの他に、エアコンの設定についてもご確認ください。
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3Dプリンターの設置場所はお客様によって様々です。
オフィス環境で担当者の机の近くに置くお客様
工場拠点に置くお客様
給湯室に置くお客様
専用の3Dプリンタールームを作るお客様
「3Dプリンターが置いてある会議室」を作るお客様
中にはMJP(インクジェット方式)の3Dプリンターをサーバールームに置く客様もいらっしゃいます。
(CJP方式は造形材料の粉が少々舞う為、サーバールームはNGです)

御社に最適な3Dプリンターの設置場所を見つけて下さい。

導入検討時に機器のサイズを気にするお客様は多いですが、意外と温度・湿度を気にするお客様は多くありません。
購入後に焦らないよう、事前確認項目の中に、ぜひ『温度』『湿度』を入れて下さいね。